転職市場の現場でささやかれてきた、35歳を過ぎると転職先の選択肢が減る「35歳限界説」が崩れかけている。インターネット上には、「ミドル層」や「キャリア女性」など、転職に不利とされてきた世代向けの転職サイトが次々と開設。求人環境が好転し、ミドル層の転職希望者が増えており、市場が活性化している。背景には、景気の回復基調が強まる中、成長過程にある企業でかじ取りを任せる人材が不足している現状がある。
即戦力の経験重視
都内にある転職支援会社は、東南アジア市場への進出を計画する文房具メーカーに人材紹介を頼まれた。ほどなくして採用されたのは、家電メーカーに勤務経験のある50代後半の男性。男性はアジアにおける複数の工場の用地選定から稼働まで携わっており、この経験が認められた。年齢より即戦力としての経験が認められたケースだ。
35歳限界説の“崩壊”を示すデータもある。人材サービス会社「エン・ジャパン」(東京都新宿区)が1月、転職コンサルタントを対象にネットで実施した調査で、ミドル層の求人募集が「増加する」との回答が72%に達した。「増加する」と答えた人に、ミドル層の求人増加が見込まれる業種を複数回答で問うと「メーカー」(55%)、「建設・不動産」(49%)、「IT・インターネット」(40%)の順だった。