【論風】社会保障経済研究所代表・石川和男 介護報酬引き下げ問題 (1/3ページ)

2014.11.20 05:00

 ■黒字経営のための制度改正を

 高齢者介護の小規模デイサービスや訪問介護、居宅介護支援事業所などを全国展開している株式会社日本介護福祉グループの藤田英明会長と話をした。その際、介護報酬引き下げ(歳出削減効果6000億円)という政府の来年度予算編成方針に関して藤田氏から興味深い問題提起があった。いわく「介護報酬について、同一時間・同一賃金を検討してみるべきではないか」

 少子高齢化の進展により年間1兆円の自然増が見込まれる社会保障費。来年度は介護報酬が改定されるが、その全体を引き下げる方針が示されている。

 ◆民間の参入意欲そぐ

 介護は社会福祉法人、株式会社、NPOなど多様な法人形態によって担われている。だが、株式会社に比べて税制優遇されている社会福祉法人は、いわゆる“内部留保問題”を抱える。内部留保は特別養護老人ホームで1施設当たり平均3億1373万円、1床当たり平均381万円に上っている(2011年度)。全国での総額は「2兆円規模」。特養を経営する社会福祉法人の収益率は中小企業に比べて約6%も高く、介護報酬を6%引き下げれば6000億円の歳出削減になると試算される。

 特養の内部留保問題に対しては、出過ぎた利益を還元させるだけでなく、今後の介護報酬を引き下げることで利益が出にくいようにするように見える。しかし、これを特養の運営主体である社会福祉法人だけでなく、株式会社やNPO法人など他の事業形態にまで広げるとなると、民間事業者の介護産業への参入意欲を著しく低下させてしまうのではなかろうか。藤田氏は、こうした“ディスインセンティブ手法”ではなく、介護保険サービスの『時間当たり共通単価』を作ってはどうかと提案する。すなわち、「同一時間・同一賃金」だ。

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