【寄稿】南山大学 法務研究科教授・豊島明子 (1/2ページ)

2015.3.12 05:00

 ■法学から見た「社会保障制度」の問題点と今後の行方

 今、日本の社会保障政策は財政の強い影響下にある。介護保険はその典型であり、最初の大改正であった2005年改正時の介護予防重視への転換や施設での食費・居住費の自己負担化は、要介護度軽度者が利用可能な介護サービスや保険給付対象となる施設給付の抑制策であった。現在の「社会保障と税の一体改革」政策は、個人の介護予防の取り組みの奨励や介護サービスの範囲の適正化・効率化・重点化など、国家による介護保障よりも先に個人の自助努力に期待する方針を掲げ、財政支出抑制を含意した持続可能な社会保障の実現に力を注いでいる。

 そもそも政策は、多様な学問分野から議論されるものであり、法学からのアプローチもそのひとつだ。法学に携わる立場から、日本の福祉政策について以前から気になっている点を指摘したい。

 昨今の福祉政策には、法的に極めて奇異な面がある。政策の対象者ごとに、異なる制度設計を採ってきたからである。これは介護保険の成立を機に、児童・障害者・高齢者の3大福祉分野の制度間に生じた差異である。同じ介護保障でありながら、なぜ高齢者には保険で、障害者には税財源を用いるのか。サービスを求める当事者が直接、民間事業者と契約を結んでサービスを利用する制度は、介護保険とともに高齢者にのみ先行して導入され、やや遅れて障害者分野へ、そして今後は保育分野へ導入されようとしている。このように昨今の日本の福祉政策は、対象者の別による法制度の差異を許容してきたが、その法的な正当化は難しい。

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