スマートフォンの普及で、今や誰もがどこでも簡単に写真が撮れる時代になった。写真をツイッターやフェイスブックなどSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)に投稿する人も多い。しかし、無断で撮影した人物の写真の投稿は、肖像権の侵害に当たり、訴訟に発展する可能性もある。遊び心では許されないこともあるので、注意が必要だ。(平沢裕子)
「盗撮女子」が拡散
「目の前のおっさんキモい(笑)」-。こんなコメントと一緒にツイッターに投稿された薄毛の男性の写真。電車内でだらしない姿で熟睡するサラリーマンやスマホの操作に熱中する中高年男性の姿を、若い女性が面白がって「盗撮」し、SNSで拡散させていることが今年に入り、週刊誌で報じられた。盗撮というと女性がターゲットになるケースが多いが、最近は、中高年男性をターゲットにした「盗撮女子」が増えているという内容だ。
女性のスカートの中を盗撮するのは明らかな犯罪行為だが、電車内の中高年を撮影することも盗撮に当たるのだろうか。IT関連トラブルの法的問題に詳しい森居秀彰弁護士は「本人の同意を得ずに勝手に撮影すれば、肖像権の侵害に該当する可能性がある。直ちに犯罪行為となるとはかぎらないが、民事上の責任を問われ、損害賠償を請求される恐れはある」と指摘する。