■外食産業の常識外れの挑戦
東証一部上場企業の「ダイヤモンドダイニング」を創業した松村厚久社長の人物伝。いわゆるビジネス本ではない。本書を通じて松村氏が若年性パーキンソン病であることが明かされるのだが、といって単なる闘病記でもない。
なぜ「100店舗100業態」のような常識外れの挑戦が成功したのか。同業のライバルに〈外食業界は、松村以前と松村以後に分かれる〉とまで感じさせるのはどうしてか。ルポルタージュの達人が、入念な取材と細やかな文章で描き出すのは、「情熱」や「縁」をめぐる物語だ。ビジネスパーソンでなくても楽しめるはず。(1620円、幻冬舎)