□「カスタマーセントリック思考 -真の課題発見が市場をつくる-」
■企業戦略の基準は消費者の隠れた本音
マーケティングというと、日本では一般的に広告宣伝やPRなどのコミュニケーションの手法やテクニックを指すことが多いと感じます。しかし、市場ニーズをくみ取り、消費者が欲しいと思う製品を開発し、それに対する需要を創造するそれら全ての活動が統合的に行われる、いわば“売れ続ける仕組み”を構築することが大切であり、それこそが真のマーケティングだと私は考えています。
そして、そのために必要な思想が、「カスタマーセントリック(顧客至上主義)」なのです。かつて日本が世界市場を席巻した背景には、日本企業の優れた製品開発力、技術・機能革新があったことは疑いようのない事実です。
しかし、市場は成熟化し、デジタルテクノロジーの進化により消費者が情報を得る方法や、モノを買う手段が多様化しています。このような状況下では、これまでのような企業側の倫理でのプロダクトアウトに立脚した考え方やマーケティング手法では、消費者の心をつかむことはできません。
また、情報量が飛躍的に増えた現代においては、消費者の「意識」と「行動」のギャップが広がっていく傾向が顕著になってきています。つまり、消費者が「欲しいと思うこと」と、「実際に購入すること」のギャップが大きくなっているということです。だからこそ、リサーチやデータの分析・洞察など、消費者のインサイト(隠れた本音)をつかむための取り組みの役割は、ますます重要になってきています。