厚生労働省は7日、労働政策審議会の分科会を開き、現行で最長1年半の育児休業を最長2年に延長することで合意した。認可保育所などに入れない待機児童が4月時点で都市部を中心に全国2万3000人を超えることを踏まえ、緊急的な措置として実施する。ただ、職場から離れる期間が長期化して「女性のキャリア形成にとっては逆効果だ」との懸念も残る。
厚労省は来年の通常国会で育児・介護休業法などの改正案を提出し、早ければ来年10月の施行を目指す。
育休は原則1年で、子供を預けられる保育施設が見つからない場合などは特例で半年追加できる。見直しでこの特例をさらに半年延長する。
育休延長は、政府が8月に閣議決定した経済対策で方針が明記されていた。ただ、労使の代表や研究者で構成する審議会では「女性活躍に逆行する」「最終的に不要となるよう保育の受け皿整備を進めるべきだ」との指摘が続出。そのため厚労省は「緊急措置」と位置付け、施行から2年をめどに女性の就業への影響を検証し、見直しも検討することで収拾した。
また、2015年度で2.65%と低迷する男性の育休取得率の向上策として、延長分の一定期間を男性に割り当てる案も議論したが、意見がまとまらずに見送った。企業が独自に育児のための休暇を設けたり、育休利用を社員に促したりすることを努力義務とする方向だが、実効性は乏しそうだ。