日本のTVドラマを見ていて不思議に思うことがよくある。
かなり気取った友人との集まりでも、ソファの下に座って低いテーブルに料理を並べている風景だ。雑談しながら赤ワインをグラスで飲む。
画面を眺めながら「あっちのダイニングのテーブル使えばいいじゃない」とぼくは思う。
東京周辺の平均的な家庭に応接セット(2つの1人掛けソファ+3人掛けソファ+テーブル)が普及したのは1960~70年代と記憶しているが、最初の頃、応接セットは「応接間」と呼ばれる空間に置かれていることが多かった。客人を迎えるスペースであり、紅茶やケーキをつまむ程度の場であった。
少なくても食事をする場ではなかった。
それがいつの頃からか分からないが、喫茶店の低いテーブルで食事をする習慣が家庭内に持ち込まれたのか、ソファに座りながらの食習慣が普及しはじめた。TVを見ながらファーストフードを食べる以上の「まともな」料理においても。
当初、決してオシャレな風景ではなかったはずだ。が、現在、仲間とワインを飲みながらカジュアルに付き合うシンボルとして、ソファに座るのではなくソファの下に座って楽しむシーンがTVドラマで多用されている。
これは相当にいびつな生活様式ではないか。