九州豪雨 高密度の植林が根こそぎ流された 関西大社会安全学部・小山倫史准教授

 土砂災害に詳しい関西大学社会安全学部の小山倫史(ともふみ)准教授が13日、九州豪雨の被害状況を分析し、産経新聞に寄稿した。

 気象庁の雨量観測データやヘリコプターから撮影された現場の写真などから総合すると、より短時間に雨量が集中した結果、被害が大きくなったものと考えられる。数多くの斜面崩壊が発生した場所には、まさ土と呼ばれる花崗岩(かこうがん)が風化してできた砂の土壌が広く分布していることが分かる。

 まさ土は保水性・通水性が優れた地盤材料であるとされるが、今回の雨量は、その保水・通水能力をはるかに超えるものであったと考えられる。

 また、大分県日田(ひた)市は特に林業が盛んな町であり、今回、崩壊した土砂とともに流出した多数の流木が河川の氾濫や河川構造物の被害に大きく関与していた。

 谷筋の急傾斜地に比較的根の浅いとされる杉などの針葉樹が高い密度で植林された結果、斜面の表層崩壊とともに根こそぎ山肌から流されることで大量の流木が発生したものと考えられる。今後、斜面防災を考える上で、植林のあり方を再検討する必要がある。

 さらに、大雨特別警報の運用および自治体の避難勧告・指示の発令のタイミングの難しさについて再認識した。今回、自治体は土砂災害警戒情報や氾濫危険水位といった河川の情報、気象情報などさまざまな情報を総合的に判断して避難勧告・指示を発令したと考えられる。近年、土砂災害警戒情報が発令されれば、空振りを恐れずに避難勧告・指示につなげる動きがあるが、依然空振りが多く、避難勧告・指示を出しても、住民が直ちに行動を起こすとは思えない。

 今回、特別警報発令時にすでに災害が発生していたと考えられ、災害が発生してからでは遅いといえる。5年前に同様の災害の経験をもとに、異変を感じとり、行政からの情報に頼らず、地区ごとに呼びかけを行って早期避難を実施した例もあった。今後は、公助に頼らない自助・共助も重要であるといえる。(寄稿)

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