私たちの体の細胞にはレセプターというものが存在しています。レセプターは特定のものだけをキャッチして結合し、その結合による刺激が細胞内に何らかのシグナルを送ります。例えば、花粉症の場合、花粉を見つけた免疫細胞はヒスタミンという物質を放出します。目や鼻の細胞には専用の受け皿であるヒスタミンのレセプターがあり、ヒスタミンと結合するとアレルギー反応が起こされます。
先ほどの論文は、ω3のレセプターがGPR120というものであり、そこに結合することでメタボに良い影響を与えるということを明らかにしたものでした。このようにω3の細胞レベルでの体への良い影響のメカニズムが少しずつ解き明かされつつあります。
国立がん研究センターは、コホート研究という信頼性の高い追跡結果であるJPHC研究で「魚介類摂取と糖尿病との関連について」を2011年に報告しました。小・中型魚の摂取が多い男性は2型糖尿病発症のリスクが3割低くなるという報告でした。大型魚は天然水銀が濃縮するという問題もあります。安価な小型魚のω3が体に良いなんて、財布にも体にも優しいうれしい話です。(秋葉原駅クリニック院長 大和田潔/SANKEI EXPRESS)