厚生労働省によると、「日本の治験は費用はかかるが、質は高いというのが世界での評判だった」という。今回の一件は日本の信頼失墜につながる。
ただ、研究者たちにも“言い分”がある。京都大の山中伸弥教授が昨年、ノーベル賞受賞直後に厚労相にお願いしたのは、研究開発現場への資金面での支援強化だった。日本では研究機関に対する国からの支援が少なく、製薬会社など企業からの支援に頼らざるを得ない。ディオバン事件でも、研究を行った大学にはノ社から多額の寄付金が流れていた。
事件を受け、厚労省は臨床研究の不正防止のための検討会を立ち上げる。しかし、罰則を設けて「不正」を減らすことはできても、画期的な研究にはつながらない。山中教授のノーベル賞受賞には、日本中がわいた。こうした世界的な研究成果を生むためにも、国民が納得できるお金の使い方を話し合うことが今、何より求められているのではないか。(厚労省担当 道丸摩耶/SANKEI EXPRESS)