デビューは2003年。映画「わたしのグランパ」で、菅原文太さん演じる刑務所帰りのグランパ(祖父)に初めはおびえつつ、自分を曲げずに生きるグランパに次第にひかれていく孫娘を演じて、ブルーリボン賞新人賞など数々の賞を獲得した。それから10年。ベテラン俳優を前にしても臆さず、自分を出し切った演技に磨きがかかり、映画やドラマ、舞台といった場所で強い存在感を放っている。
「10代の頃はがむしゃらで通してきました。途中から人を見ること、人のことに気づくようになりましたけど、そうなると今度は気にし過ぎてしまって、いろいろな感情が出てストレスを感じたりして…。今は無理をしなくて良いんだということが見えてきました」
肩の力が抜け、周囲を気遣いながらも自分を貫き通すやり方が、10年の経験で培われてきた。その過程では大切な出会いがあった。その一人が10年に亡くなった劇作家・演出家のつかこうへいさんだ。08年の舞台「幕末純情伝」で沖田総司役に起用され、役者を徹底的に絞りあげる演出ぶりに直面した。