【安倍政権考】
小泉純一郎元首相の「脱原発」論が与野党双方を揺さぶっている。安倍晋三政権は原発の再稼働や輸出を推進しているだけに、自民党は小泉発言に真っ青となり、野党の中には小泉氏と面談し、共闘を模索しようとした政党もあった。小泉発言に一喜一憂せず、毅然(きぜん)と構える政党はほとんど見当たらない。今回の一件で問われているのは政党の矜恃(きょうじ)にほかならない。
手のひらで踊る
「放射性廃棄物の最終処分場もないのに原発を進めるのは無責任だ」「日本は原発ゼロでも十分やっていける」「処分場を造れば原発はやっていけると考えるほうが楽観的で無責任だ」
とどまるところを知らない小泉節。ついに自民党の石破茂幹事長も11月5日の記者会見で「発言がどのような論理展開なのか精査しなければ党として論評するのは適切ではない」と語り、党見解を示す考えを示した。「脱原発」の世論が強まれば安倍政権への風当たりも強まってしまう…。そんな懸念があってのことなのは想像に難くない。