宮内庁は11月14日、天皇、皇后両陛下のご意向で検討していた陵のあり方と葬送方法の変更を、概要にまとめて公表した。江戸時代前期から行われてきた天皇と皇后の土葬を改め、火葬とすることなどが盛り込まれた。天皇陵と皇后陵を同一にする合葬(がっそう)は見送られた。同じ敷地にそれぞれの墳丘を造り、敷地規模をこれまでより小さくすることで、両陛下が望まれる簡素化を図る。検討内容はすでに内閣に報告されており、約350年ぶりに土葬の伝統が変わることになった。
宮内庁は「本検討は将来にわたって基準となり得る」としており、皇太子さま以降もこれに沿うこととなる。変更の背景には、東日本大震災などで経済的に疲弊する国内情勢を踏まえられた両陛下の「極力国民生活への影響の少ないものとすることが望ましい」とのご意向がある。会見した宮内庁の風岡典之(かざおか・のりゆき)長官は「畏れ多く奥深い課題だったが、報告できたことにほっとしている」と述べた。
宮内庁によると、天皇陛下は大正、昭和天皇と皇后の陵があり、自らの陵も造営される予定の武蔵陵墓地(東京都八王子市)に余地がなくなってきていることを懸念。陵をこれまでより縮小し「合葬も視野に入れてはどうか」と宮内庁に提案された。