ウクライナ・クリミア半島。※2014年3月18日、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は首都モスクワのクレムリン(大統領府)での演説で、ウクライナ南部クリミア自治共和国と特別市セバストポリのロシア連邦への併合を宣言した。【拡大】
【佐藤優の地球を斬る】
日本政府は8月5日、外務省・財務省・経済産業省の連名で、<クリミア自治共和国及びセヴァストーポリ特別市のロシア連邦への「併合」又はウクライナ東部の不安定化に直接関与していると判断される者に対する資産凍結等の措置について〉という発表を行った。措置の内容は、40人と2団体に対する資産凍結やクリミア共和国とセヴァストーポリ市を原産地とする全ての貨物に対する輸入制限などだ。
40人のうち日露関係に影響を与え得る人物は1人もいない。有名人は、ヴィクトル・ヤヌコヴィッチ前ウクライナ大統領、ナタリャ・ポクロンスカヤ・クリミア共和国検事長(いわゆる「美しすぎる検事総長」)くらいだ。クリミアと日本の貿易も微々たるものだ。米国、EU(欧州連合)と共同歩調を取りつつも、日本政府はロシアとの関係に及ぼす実害を極少にするように配慮した追加制裁を行った。
表面的には反発
これに対して、ロシア側は、少なくとも表面的には激しく反発している。ロシア外務省は8月5日、マリヤ・ザハロヴァ情報出版局副局長名で、<日本政府が新たに反ロシア制裁を決定した中でロシア外務省イーゴリ・モルグロフ次官と日本外務省杉山晋輔審議官が会談を持つことは不適切である>(露国営ラジオ「ロシアの声」日本語版ウエブサイト)と発表した。