【ソーシャル・イノベーションの現場から】
「アレルギー、ハラル、ベジタリアン…。2020年までにどの飲食店でも、こうした問題に配慮した“スペシャルミール”と呼ばれる料理が一品でも提供されている社会にしたい」
こう話すのは、みんなのごはん代表取締役の岩溪寛司(いわたに・かんじ)さんだ。14年7月に設立されたこの会社では、「すべての食を自由にしよう」をモットーに、アレルギーやハラル(イスラム教で食べることが許された食品)などに対応した食材とレシピの開発を行っている。
岩溪さんは「単なる啓蒙活動や慈善事業ではなく、ビジネスの文脈の中で食の不自由さを感じている人たちへの解決策として、スペシャルミールを提供したかった」と、会社設立の意図を語る。
金融機関の理解得られず
みんなのごはんのように、ビジネスの手法を取り入れながら社会課題を解決しようとする「ソーシャルビジネス」(SB)への注目が高まり、SBに取り組む「社会起業家」という言葉もよく聞かれるようになってきた。しかし、社会課題の解決と収益性を両立させ、ビジネスとして軌道に乗せることは容易ではない。特に事業規模を拡大するための資金調達はSBにとって大きなハードルになっている。