シンガポールで開かれたアジア安全保障会議の会場で握手する中谷元(なかたに・げん)防衛相(左)と中国人民解放軍の孫建国・副参謀総長。孫氏の会議での一連の発言は、中国の孤立を助長させた=2015年5月30日(AP)【拡大】
漢民族に戦略の才なし
実際、アジア安保会議を機に開かれた日米豪防衛相会談は対中警戒を確認。日本はベトナムに経済支援を実施→ベトナムはロシアから潜水艦を購入→同型潜水艦を運用するインド海軍が越海軍乗員を訓練する-互いに意図せぬ構図を生んだ。一時後退した米・フィリピンの軍事関係も、ほぼ元に戻った。全て中国の脅威の“お陰”。
自国のパワー増大→反中包囲網形成→パワー減退をたどる皮肉=逆説的状況の回避には、軍の拡大を遅らせる他ない。だのに、中国は他国への挑発的大戦略を止められない。なぜか-。
まず、中華思想に魅入られた中国に対等という感覚はない。冊封体制や朝貢外交に代表される上下関係が全て。しかも、2500年以上前に著わされたとされる《孫子の兵法》通りに、陰謀や騙し合いを当然のごとく繰り返す。