環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)に関する主要閣僚会議であいさつする安倍晋三(しんぞう)首相(中央)。右は甘利明(あまり・あきら)TPP担当相=2015年7月24日午後、首相官邸(斎藤良雄撮影)【拡大】
大詰めを迎えた環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉は、28日から米ハワイ州マウイ島で日米など12カ国の閣僚会合が開催される。TPPを「アベノミクスの成長戦略の核」(安倍晋三首相)と位置付ける日本とオバマ政権の成果にしたい米国は大筋合意に大きな意欲をみせるが、カナダが消極姿勢を崩さないなど参加国の足並みはそろっておらず、交渉が暗礁に乗り上げる懸念も拭いきれない。
現地で24日から始まった首席交渉官会合は、27日までに論点の絞り込みを図る。閣僚会合は最終日の31日午後(日本時間8月1日午前)に共同記者会見が予定されているが、会合が1日にずれ込む可能性も指摘されている。
米国では、交渉の合意に不可欠とされた貿易促進権限(TPA)法が6月に成立した。会合に出席する甘利明TPP担当相は「TPPの命運を左右する極めて重要な会合だ」と語る。
甘利氏は、会合の期間中に並行して米通商代表部(USTR)のフロマン代表と折衝し、日米2国間の関税協議の決着を図る。
日本が設けるコメの無関税輸入枠については、米国産の主食用米を対象に協定発効直後は年間5万トン程度とし、その後10年以上かけて7万トン程度まで段階的に拡大する方向で調整。米国がかける自動車部品の関税は大半の品目で即時を含む10年以内の撤廃とする見通しだ。