役員会に臨む(右から)二階(にかい)俊博総務会長、高村(こうむら)正彦副総裁、安倍晋三(しんぞう)首相、谷垣禎一(さだかず)幹事長、稲田朋美政調会長、茂木(もてぎ)敏充選対委員長=2015年8月3日、東京都千代田区永田町の自民党本部(酒巻俊介撮影)【拡大】
9月の自民党総裁選をめぐり、安倍晋三首相(党総裁)の無投票再選の流れが加速している。派閥トップの支持が相次ぐほか、立候補が取り沙汰されてきた野田聖子前総務会長は慎重姿勢を示す。安全保障関連法案をめぐって内閣支持率は急落したものの、候補擁立の動きは見えないままだ。首相に対抗し得る実力者は閣内に取り込まれ、反旗を翻す状況にない。
「全員一致して首相を支援する」。二階派の二階俊博(にかい・としひろ)総務会長は9日、総裁選対応について埼玉県秩父市での派閥会合で明言した。額賀派会長の額賀福志郎(ぬかが・ふくしろう)元財務相も7月30日、無投票再選が望ましいと表明。首相に近い党幹部は「経済好転などの実績がある。選挙をする理由がない」と自信をのぞかせた。
石破、野田両氏は慎重
知名度が高い石破(いしば)茂地方創生担当相らの動向に注目が集まるが、「音無しの状況」(党若手)が続く。3年前の前回総裁選で首相に敗れた石破氏は、今回は閣僚として「アベノミクスの成功に全力を挙げる立場だ」と公言。岸田文雄外相も「私自身、まだ何も考えていない」と沈黙を守る。周辺は「首相を支えて禅譲を狙う」と戦略を明かす。