FMラジオ番組「RADIO_SAKAMOTO」のナビゲーター、坂本龍一さん(J-WAVE提供)【拡大】
この世はつくづく無常だな、と思う。流行の移り変わりは激しいし、価値観だってどんどん変わる。誰だっていつまでも若くはいられない。でも、その無常ってやつにあらがっていたい。特にそう決意して取り組んでいる番組がある。「RADIO SAKAMOTO」だ。あまりにも直球な番組名でお分かりの通り、ナビゲーターを務めているのは坂本龍一さん。彼が2カ月に一度、奇数月の第一日曜日の夜24時から放送している番組だ。番組がスタートして12年。スタッフも同じ、番組内容の「ゆるさ」も番組開始当時からまったく同じテンションでやってきている。
ご存じのように坂本さんは癌の療養のため、この1年間、休養を余儀なくされていた。通常なら、番組終了もやむなしなのだが、その間は「坂本さんのためなら」という気概で、高橋幸宏さん、高野寛さん、U-zhaanさん、蓮沼執太(しゅうた)さんなどのミュージシャン仲間や、メディアアーティストの真鍋大度(だいと)さん、グラッフィクデザイナーの長嶋りかこさんらが、お留守番ナビゲーターとして番組を守ってくれた。無常に散っていく番組になることなく、きちんとながらえていたのだ。その原動力は、坂本氏の人徳によるものだと思う。