欧州連合(EU)のユンケル欧州委員長は9日、仏ストラスブールの欧州議会で演説し、中東や北アフリカの難民や移民流入への対処のため、難民16万人の受け入れを加盟国に割り当てる計画を提案した。ユンケル氏は連帯を欠いたEUの現状について「今、変えなければならない」と強い危機感を表明し、計画への早期合意を求めた。
ユンケル氏は「今のEUは『欧州』でも『連合』でもない」と述べ、中東欧諸国が義務的割り当てに反対するなど加盟国がまとまれない現状を憂慮。危機を前に「今は恐れるときではなく、断固とした行動をとる時だ」と強調した。
また、過去に戦禍などが繰り返された欧州では「ほとんどの人々がいつかの時点で難民だった」とも指摘した上、「庇護(ひご)を受けるという最も重要な権利をわれわれは忘れてはならない」と呼びかけた。
欧州では今年、北アフリカから渡航してくる移民らが増大し、夏以降はバルカン半島経由の流入が激増。国連難民高等弁務官事務所は今年の流入を約40万人、来年も45万人と推計するが、「第二次大戦後の欧州でみたことのない規模なのに対応がばらばら」(アムネスティ・インターナショナル)と後手に回るEUには批判が上がっていた。