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楽園に民主主義を 敏腕妻圧力 A・クルーニーさん モルディブ元大統領の釈放成功

2016.1.23 00:01

ロンドンのヒースロー空港でモルディブのモハメド・ナシード元大統領(左)を出迎えるアマル・クルーニーさん=21日(ロイター)

ロンドンのヒースロー空港でモルディブのモハメド・ナシード元大統領(左)を出迎えるアマル・クルーニーさん=21日(ロイター)【拡大】

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 米俳優、ジョージ・クルーニーさん(54)と2014年に結婚した英人権派弁護士、アマル・クルーニーさん(37)が、インド洋の島(とう)嶼(しょ)国、モルディブで反テロ法違反の罪で刑務所に収監されていた民主派の元大統領の“奪還”に成功した。弁護を引き受けたアマルさんは昨年9月に現地に乗り込み即時釈放を要求。国際的な圧力をかけ続けた結果、元大統領は21日、脊髄の手術を受けるという名目で釈放されて英国に到着した。アマルさんは「正義への一歩」と語り、元大統領の完全な自由に加え、政情不安に揺れるモルディブに民主主義を取り戻すため、活動を続ける考えを表明した。

 「奇妙であいまいな感じだ。2日前、私は孤独だった。しかし、少なくとも今は自由だ。私の弁護士をはじめ、この状況を可能にしたすべての人に感謝したい」

 モルディブのモハメド・ナシード元大統領(48)は21日、中東ドバイからロンドンのヒースロー空港に降り立ち、出迎えたアマルさんとハグし、こう喜びを語った。

 ■「正義の実現に一歩」

 アマルさんは「これで正義の実現に一歩近づいた」と安(あん)堵(ど)の表情を見せたものの、「やるべきことがまだ多くある。モルディブには深刻な問題が複数あり、われわれは多くのことを行わねばなりません」と厳しい表情で述べた。

 元大統領の釈放を求めてきた米国のジョン・ケリー国務長官(72)もツイッターで、「彼の釈放は、モルディブ政府に民主主義を認めさせるための正しい第一歩だ」と、歓迎する意向を表明した。

 モルディブでは08年に、30年間続いたマウムーン・ガユーム元大統領(78)による独裁政権が崩壊し、初の民主的な大統領選でナシード氏が当選した。しかし、12年のクーデターで辞任に追い込まれ、13年の大統領選に出馬したが、独裁政権一派のアブドラ・ヤミーン現大統領(56)に僅差で敗北。昨年2月に反テロ法違反の容疑で逮捕され、3月に懲役13年の有罪判決を受け収監された。

 ナシード氏から弁護の依頼を受けたアマルさんは「政治的な報復」と無罪を主張。外交戦略も駆使し米英や国連など国際社会を通じて圧力をかけ続けた。

 現政権は釈放を拒否してきたが、今月になってナシード氏がロンドンで脊髄の手術を受けるという名目で30日間の釈放と出国を認めた。アマルさんは完全な釈放を求めて交渉を続ける構えだ。現政権は出国を認める代わりに、ナシード氏の親族を「人質」とすることを要求したとも伝えられており、その手腕に期待がかかっている。

 ■知名度を武器に

 アマルさんは昨年9月に現地を訪れた際、「モルディブの民主主義は死んだ。独裁と専横が再びはびこっている」と批判したが、実際、世界的なリゾート地で知られる“楽園の島”では政情不安が深刻化している。

 昨年9月末にヤミーン現大統領の暗殺未遂事件が起き、副大統領が逮捕され、11月には大統領公邸近くで手製爆弾が見つかり、非常事態宣言が出された。市民の逮捕が容易になり、デモも制限するもので、ナシード氏の釈放を求めるデモの阻止が狙いだったといわれている。

 アマルさんは、告発サイト「ウィキリークス」創設者のジュリアン・アサーンジ容疑者(44)やウクライナのユリア・ティモシェンコ元首相(54)らの弁護のほか、シリア問題でコフィー・アナン国連前事務総長(77)のアドバイザーを務める敏腕弁護士。クルーニーさんの妻となったことでその注目度は俄(が)然(ぜん)高まった。

 本人は「セレブ(有名人)妻」として扱われることに不快感を示しているが、非民主的な弾圧勢力に対し、その知名度は強力な武器となる。

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