「戦争に巻き込む」戦略を
確かに米太平洋軍司令官は1月27日、尖閣が「中国の攻撃を受ければ(安保条約に基づき)間違いなく防衛する」と、講演で明言した。バラク・オバマ大統領(54)も14年に同種の発言をしている。
ところが、安保条約第5条が適用され、米軍出動を可能にするには《日本施政下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃が自国の平和・安全を危うくする》と認めることが大前提。ランドが絡んだ自衛隊VS中国軍交戦シナリオで、米国は腰を引き5条事態をほぼ認定しなかった。ハドソンに至っては、5条が完全に空証文だった。中国が最も望む日中軍事衝突パターンだ。
自衛隊VS中国軍の正面対決でさえ米軍が来援せぬのなら、海上保安庁VS中国海警局の海上警察対決で、米軍の出る幕はない。それ以前に、海上警察対決では、日本も《武力攻撃事態》と認定できない=つまり防衛出動を下令できない。自衛隊を投入し難い状況で、米軍が被侵略認定して出動する道理がない。海保の巡視船は、軍の特殊作戦部隊員が隠れている恐れも有る一万数千トンもの“重武装巨大公船”が領海侵入しても、放水もできず、ひたすら「領海から出なさい」と虚しく連呼するだけ。