伸びているのは在庫だけである。8月23日付の「中国証券報」の関連記事によると、中国国内上場企業1246社の6月末の商品在庫額は1兆4200億元(約17兆400億円)で、前年同期に比べて38・2%、年初に比べて18・9%増加したという。
このように販売や利益、在庫などの企業業績の基本面において、今年上半期の国内産業全体はまさに落ちる一方である。
7月7日の本欄が論じた中国経済の「硬着陸」傾向はより鮮明となってきたとはいえるが、その背景にあるのはやはり、中国政府がインフレ退治のために実施している金融引き締め政策である。金融引き締めの結果として、中国経済の6割を支えている中小企業が経営難に陥って「倒産ラッシュ」が全国に広がっているから、経済が急速に傾いてしまうのは当然の成り行きである。
しかしそれでも、政府は金融引き締めの手綱を緩めることができない。インフレのさらなる亢進(こうしん)が何よりも恐れられているからである。温家宝首相は1日発行の中国共産党中央委員会の理論誌『求是』に寄稿した文章で、「物価レベルの安定が最優先課題であり、政策の方向を変えることはできない」と表明した。これは、まさに引き締め政策継続の決意表明であろう。