東南アジア諸国連合(ASEAN)で域内を1つの観光市場とみなし、協力して観光客を呼び込む動きが活発化している。ASEANは2015年までに域内の人や物の流れを完全に自由化する経済統合を目指しており、観光分野でも連帯を強めていく方向だ。
ASEAN加盟国にとって観光は、収入が得られるだけでなく、外食や流通など幅広い分野に雇用をもたらす重要産業に位置づけられる。各国は宣伝やインフラ整備に力を入れ、ASEANとしても共同のキャンペーンやイベントを行っている。
インドネシアのジャカルタ・ポストなどによると、11年にASEAN10カ国を訪れた観光客数(域内旅行者を含む)は前年比7.4%増の約7900万人で、06年の約5700万人から39%増加した。
全観光客数のうち43%を占めるのがASEAN各国の域内旅行者だ。同地域で経済的に余裕のある中所得層が増加しているのも大きいが、加盟10カ国でミャンマー、ラオス、カンボジアを除く7カ国が相互にビザの免除措置を講じるなど政策面の努力も功を奏している。
次にASEANが目指すのはビザ免除措置の全域への拡大と、現在は各国単位で発行している域外からの旅行者へのビザの統一だ。免除措置の拡大で域内旅行者をさらに増やし、域内を自由に移動できる単一ビザの導入で域外からの旅行者も獲得したい考えだが、政治情勢など各国の事情もあって実現には時間がかかるとみられている。