米最強銀行とうたわれた、ゴールドマン・サックスたたきが激しさを増している。内部告発、規制強化、不利な判例と四面楚歌(そか)である。ウォール街占領運動に見られるような格差問題が火をつけたのか。それとも、ゴールドマンの企業文化が常軌を逸したのか。
「たった一人の見解を元に意見記事を掲載するなんて信じられない。公平でないと思うし、バランスが取れていない」
16日早朝、ニューヨーク市内の講演会に登場した米大手投資銀行モルガン・スタンレーのゴーマン最高経営責任者(CEO)は、ゴールドマン寄りに立った発言を繰り返した。数日前にも、JPモルガン・チェースのダイモンCEOが似たような発言をしている。公式見解とはいえ、犬猿の仲であるライバル銀トップがゴールドマン擁護とは相当の事態である。
やり玉に上がった「記事」とは、米ニューヨーク・タイムズ紙に掲載されたゴールドマン元社員、グレッグ・スミス氏の投稿だ。「金を稼ぐことを考えるあまりに、顧客の利益が脇に追いやられる経営が続いている」とした告発文で、スミス氏は記事掲載と同時に退職した。