風力発電関連産業 被災地を集積地に 新エネ財団が提言

2012.4.14 05:00

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 エネルギー関連の企業や団体が加盟する新エネルギー財団(東京都豊島区、近藤隆彦代表理事)は13日、東日本大震災の被災地を風力発電関連産業の集積地にすべきだとした提言をまとめ、経済産業省資源エネルギー庁に提出した。提言は制度や技術面などの課題を列挙しており、エネルギー政策に関連する「各界各層に強く訴求」していくという。

 風力発電について同提言は「経済合理性に優れ、同時に短・中期的にも導入効果が大きい」と評価。2011年末時点で世界の導入量は2億3900万キロワットに急増している一方、日本は250万キロワットと世界の1%、順位で13位にとどまり「趨勢(すうせい)に逆行している」と指摘した。

 また、日本で注目が高まっている洋上風力では、欧州や中国が先行している現状を紹介。一方、建設コストが陸上風力発電に比べ1.7~6.4倍にのぼり、船やヘリコプターを使った保守点検が必要になるため稼働率も落ちるとして、関連技術や人材開発の必要性を強調した。

 その上で、欧州では大規模洋上風力発電の導入計画(30年までに15万キロワット)に地域政府が数千億円を投資して関連企業を誘致していることなどを参考に「東北地域への風力関連機器の工場や関連機関を誘致、集積することが、経済合理性のある選択肢となる」と結論づけている。