露版シリコンバレー、日本に秋波 アジア企業進出の呼び水狙う (1/2ページ)

2012.5.4 05:00

 ロシアにハイテク産業の集積地を作り、「ロシア版シリコンバレー」の実現を目指す「スコルコボ」計画で、ロシア政府が日本企業に秋波を送っている。計画を担う財団の代表が4月末に来日。東芝や日立製作所グループ、外務省などを訪問し、省エネ分野などでの技術協力を呼びかけた。日本企業の誘致を実現し、アジア各国からの進出の呼び水にしたい狙いがある。

 ◆「東芝・日立に期待」

 「東芝や日立とは、(電力効率を高める)スマートシティの実現に向け話し合った。彼らの経験に期待している」

 4月27日、来日した「スコルコボ財団」のビクトル・ベクセルベルク総裁はそう語り、来日の成果を強調した。

 ベクセルベルク氏は両社のほか、経団連、東京大学、経済産業省などを訪問。玄葉光一郎外相とも会談し、経済の近代化に向けた協力を要請した。

 スコルコボ計画は2010年に立ち上げられた。モスクワ郊外の広大な地域を開発し、海外のIT(情報技術)企業などを集めハイテク産業の集積地区を作ることが狙い。ソ連崩壊後、石油、天然ガスなど燃料資源輸出に依存する経済構造が続くロシアで、技術革新による経済改革を目指す旗振り役としてメドベージェフ大統領が打ち出した。「(モスクワ以外の)他の都市でもスコルコボの経験を活用したい」(ベクセルベルク氏)というように、長期的には広大な国土を持つロシア全体の経済改革の基盤にしたい考えだ。