【ビジネスアイコラム】
中国での反日デモは日系の工場や商店を放火や略奪の対象とし、18日も臨時休業が相次ぐなど、日中関係の土台となってきた経済活動を直撃した。
パナソニックなど中国経済の飛躍を助け、「井戸を掘った」功績を中国で認められた企業ですら被害を免れなかった現実は、今後の中国ビジネスに長く暗い影を落とすだろう。
中国に進出した日系企業はこれまでにも現地の情勢混乱や反日デモの影響で操業の休止などを迫られてきた。
とりわけ、中国の民主化を訴える学生らに戒厳部隊が「血の弾圧」を加えた1989年6月の天安門事件や、2003年春の新型肺炎(SARS)の流行では、多数の日系企業が操業休止や駐在員の国外待避に追い込まれた。
今回の反日デモは、政治的な統制が及びにくい地方都市で暴動に発展する傾向がみられた。パナソニックの工場やトヨタ車の販売店が放火された山東省青島などのケースだ。いずれの企業も日本の有名ブランドとして中国社会で親しまれていたことが、かえって暴動の標的となる皮肉な結果を招いた。