【安西洋之のローカリゼーションマップ】
ぼくが学生の頃、「クルマなんてダサい」という日が来るとは思っていなかった。が、世の中は必ず変化する。
「大学生になった娘がクルマの免許をとったんだけど、クルマは要らないって言うんだ。必要な時はカーシェアリングを使えばいいってね。クルマは環境や社会にとって重すぎるって。ぼくたちにとってクルマはステータスだったんだけどね。iPodで音楽を聴きながら友人とエコについて語りあったり、そういうのがいいって娘は言うんだな」とイタリア人の友人が話す。
4-5年前、日本で若い人がクルマに関心を失いつつあると彼に説明したら、「イタリアではまだそこまでクルマにネガティブじゃないよね」とのコメントがあった。某欧州クルマメーカーのマーケティング担当も「北米など先進国の一部でそういうデータが出始めている」と指摘するにとどまっていた現象が、イタリアにも急速な勢いで到達しはじめたようだ。
以前よりクルマが情報通信の要になるだろうと予測されていたが、実際その時代に突入しつつある。カーナビは単なる道案内ではない。さまざまな情報の受発信の拠点になってきている。まさしく若い人たちが馴染むはずのネット空間だ。それなのにクルマIT化の本番を迎えた現在、クルマそのものに関心が失われつつある。
若い女の子もガンガンとマニュアルギアを使いこなすイタリアにおいてさえ、である。