経済産業省の有識者会議がまとめた電力制度改革案をめぐり、業界団体の電気事業連合会(電事連)や組合組織の電力総連が反発を強めている。大手電力会社の発電部門と送配電部門を分ける「発送電分離」への抵抗は特に強く、法制化に向けて経産省と電力業界の攻防が激しくなりそうだ。
電事連の八木誠会長(関西電力社長)は15日の会見で、改革案で示された小売りの全面自由化や送電網の広域系統運用機関の設立は「顧客の利益につながる」として協力する考えを強調。一方、2018~20年に実施するとされた発送電分離については「現時点では実現の見通しは大変厳しい」とした上で「柔軟に見直してほしい」と求めた。
原発は再稼働の見通しが立たず、活断層の調査で廃炉のリスクにも直面している。このため八木誠会長は、分社化した場合は原発の維持・管理が「非常に難しい」と指摘。収益構造の脆弱(ぜいじゃく)化を懸念する声が金融業界からあり、「資金調達がさらに厳しくなる」とも主張した。