国外で働くフィリピン人労働者から本国への送金が増えている。フィリピン中央銀行(BSP)によると、2012年の国外就労者の送金額は前年比6.3%増の213億9000万ドル(約1兆9900億円)となり、過去最高を更新した。11年は201億2000万ドルだった。現地紙インクワイアラーなどが報じた。
BSPは、製造業などの地上職、船員など海上職のいずれも送金額が増えているとし、「技能水準の高いフィリピン人労働者の需要が中東を中心に高まっている」と分析した。また、昨年12月の送金額が12年の単月ベースで最高となる19億8000万ドル(前年同月比9.7%増)だったと指摘、今年も増額傾向が続くとみている。
フィリピン政府は失業対策や外貨獲得手段として労働者の国外就労を促進しており、国外雇用庁を設置して職業訓練や就職先の紹介などを行っている。国外就労者の送金額は同国の国内総生産(GDP)のおよそ1割を占めるとされ、消費など経済への影響も大きい。
同庁の統計によると、12年1~10月の国外就労者数は前年同期比9%増の174万人。就労国は多い順に、米国、カナダ、サウジアラビア、英国、日本などとなっている。(シンガポール支局)