【北京=山本秀也】中国の陳徳銘商務相は8日、全人代(国会に相当)開会中の記者会見で、米国などの進める環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)について、「第三国を排除するものであってはならない」と警告した。日本がTPP交渉参加の動きを強めたことで、中国がアジア太平洋地域の枠組みから排除されることに警戒感を示した格好だ。
陳商務相は、暗礁に乗り上げている世界貿易機関(WTO)の新多角的貿易交渉(ドーハラウンド)の早期合意に向けて、「まず全力を尽くすべきだ」と強調。中国自身が参加する日中韓自由貿易協定(FTA)など、地域協力の枠組みについては、新ラウンドに従うべきだとの原則を指摘した。
TPPについて、中国政府高官は、先月ワシントンで行われた日米首脳会談後あたりから、「(中国も)オープンな態度だ」と繰り返すなど、関心と警戒を織り交ぜた反応を強めていた。交渉参加の是非について、陳商務相は7日の新華社通信で、「中国の発展段階の現状に適しているか否かを検討中だ」と述べるにとどまっている。