フィリピンのビール2位でシェア9%のアジア・ブルワリーズが、日本最大手のアサヒビールとの提携でシェア約90%を握る最大手のサンミゲル・ブルワリーに挑む。
現地紙ビジネス・ワールドなどによると、アジア・ブルワリーズはアサヒビール製品のフィリピン国内独占販売権を取得。今後はホテルやバーの販売を強化し、サンミゲルの独占状態にある高価格帯の高級ビール分野でのシェア獲得を狙う。
現在、フィリピンの高級ビール分野は外国ブランドが普及せず、サンミゲルの「スーパードライ」「オールモルト」「セルベッサ・ネグラ」の3ブランドの独占状態にある。アジア・ブルワリーズはアサヒビールの「スーパードライ」を投入してシェア獲得を図る。
アジア・ブルワリーズは以前にも高級ビール分野にデンマークの「カールスバーグ」、米国の「クアーズ」の2ブランドを投入したものの、高い輸送費を回収できず、ブランド定着に失敗した。日本は地理的に欧米よりも近いため、製品の輸送期間を4分の1に短縮できるうえ、輸送費も半分以下に抑えられるという。
同国の高級ビール分野は、年間約2億ケースが流通するビール市場のうち、0.1%に過ぎない。しかし、アジア・ブルワリーズ幹部は「まず高級分野でブランド力を磨き、新たな市場を形成する」と述べ、圧倒的なシェアを誇るサンミゲルに対し、長期的戦略に基づいたシェア争いを挑む姿勢を強調した。
英調査会社ユーロモニター・インターナショナルによると、フィリピンの2011年のビール消費量は約16億リットルで、東南アジアではベトナム(約26億リットル)、タイ(約18億リットル)に次ぐ3位。今後も経済成長にともなって消費量が増加する見込みで、「日本の味」が定着するかどうかが注目される。(シンガポール支局)