アジア開発銀行(ADB)は26日、新総裁に財務省顧問の中尾武彦前財務官を選出したと発表した。日銀総裁に就任した黒田東彦(はるひこ)氏の後任で、加盟67カ国・地域からの全会一致で信任された。就任は28日。任期は2016年11月までの約3年半。
同日、財務省で会見した中尾氏は「アジアの成長や貧困層の削減に取り組んでいく」と抱負を語った。
ADB設立以来、総裁ポストは日本人が占めていた。今回、黒田氏の辞任で空席なったことから、一時は中国などに奪われるのではないかとの懸念も浮上していた。その中での全会一致で信任されたことには「アジア各国の日本に対する信頼感の証しだろう」と中尾氏は振り返る。中尾氏は日本政府の推薦で総裁選に立候補した。3月下旬に財務官を辞め、財務省顧問に就いていた。1978年に大蔵省(現財務省)入省後、国際通貨基金(IMF)勤務や国際局長などを経て、2011年8月に財務官に就任した。5月2日に開幕するADB総会に臨む。