外国為替市場の円相場が1ドル=100円の節目を超えて下落したことで、市場関係者の間には年末にかけ円安が一段と進むとの見方が強まっている。112円までの下落を予想する声も出始めた。ただ、米国経済の回復が足踏みした場合には揺り戻しもあるとみられている。
今後の円ドル相場で焦点となるのが、米国経済の動きだ。日銀がデフレ脱却に向けて2%の物価上昇率目標の達成に向け大胆な金融緩和を進めるなか、米連邦準備制度理事会(FRB)が今後、量的緩和策の縮小に動けば、米国の長期金利が上昇して日米の金利差が拡大し、一段の円安が進むとの見方がある。
米国では最近、雇用関連の指標が改善傾向を示しているが、三菱UFJ信託銀行の塚田常雅資金為替部グループマネージャーは「過去のペースに比べると米国の雇用情勢は堅調に回復しているとまではいえない。
量的緩和策の縮小に着手するにはまだ不透明な要素がある」と指摘する。米政府の強制歳出削減などを受け、4~6月期の米国経済が減速しかねないとの警戒感も根強く、一本調子に円安が進むとはかぎらない。