政府は29日午前、産業競争力会議(議長・安倍晋三首相)を開き、成長戦略の骨子を示した。今後3年間を「集中投資促進期間」と位置付け、新事業への投資を喚起する方針を明記。対象地域を絞って規制を緩和する国家戦略特区(仮称)などで民間企業の活力を引き出すとともに、官民で連携して平成32年にインフラ輸出で約30兆円の受注を獲得する目標を掲げた。
甘利明経済再生担当相は会議後、記者団に対し、「(策定に向け)8合目まできた。しっかりと取りまとめていきたい」と述べた。政府は次回会議に成長戦略の素案を提示し、6月中旬の閣議決定を目指す。
骨子は、経済成長の道筋として、企業の収益向上を、消費や投資の拡大につなげる民需主導のシナリオを提示。企業再編や投資を促進する「産業競争力強化法(仮称)」などを盛り込み、企業重視の姿勢を打ち出した。
また、成長産業として健康・医療やエネルギー、次世代インフラ、農業などの地域資源の4分野を選定。約20年後の社会像を見据え、研究開発や規制改革などを集中する工程表を策定する。
政府の取り組みとしては技術革新を後押しするため総合科学技術会議の司令塔機能を強化し、新市場開拓につながる研究を支援。環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)など経済連携の推進も明記した。
成長戦略のすべての政策分野で、25~27年度の3年間と、28年度以降のそれぞれの工程表を作成する方針。重要政策では成果を数値目標として示し、検証していく。