インドネシアの製紙最大手、アジア・パルプ・アンド・ペーパー(APP)グループは今年2月、インドネシアのサプライチェーン(供給網)における自然林伐採の即時停止を宣言した。紙・パルプの生産能力が年間1800万トンを超え、世界最大級の製紙メーカーに成長したAPP。森林資源に依存する製紙メーカーとして下したこの決断は、持続可能な産業システムを世界に示す新たな挑戦であり、企業責任を伴う国際公約といえそうだ。
1日100万本植林
APPは、インドネシア最大の財閥、シナール・マス・グループ傘下にあり、生産能力は米ナショナル・ペーパーに次ぐ世界第2位。中国にも生産拠点を抱え、オフィス用品のほか、印刷用紙、家庭紙などを手がける総合製紙メーカーで、アジアを中心に約120カ国で製品の販売事業を展開している。
しかし、1972年の設立から約40年で世界トップクラスの製紙メーカーに成長した陰では、世界自然保護基金(WWF)など環境保護団体から自然林の伐採について批判されてきた。