フィリピン経済が好調だ。同国政府によると、今年第1四半期(1~3月期)の実質国内総生産の成長率は7.8%となり、中国(7.7%)などを上回ってアジア新興国の中で最高を記録した。現地紙インクワイアラーなどが報じた。
1000万人ともされる国外就労者からの送金が支える個人消費が活発だったことに加え、製造業や建設業などの業績が好調だったのが成長加速の要因だ。
フィリピン中央銀行のテタンゴ総裁は、同国の資本力・生産性・労働力をフル活用した場合の潜在成長率が6~7%に達したと指摘。「4~5%成長の時代は過去となった」と述べ、同国経済が新しい段階に入ったとの認識を示した。
しかし、同国経済には課題も残る。貧困層の総人口比はアジア新興国の中でも最高レベルの27.9%にのぼり、ベニグノ・アキノ政権が掲げる16年までに17%に削減という目標達成は難しい情勢だ。
専門家は同国が貧困を克服するには7%を超える成長率を維持し、国内雇用を拡大していく必要があると指摘する。「雇用なき経済繁栄」との皮肉な声にどう答えるか、アキノ政権の手腕が問われている。