【モスクワ=遠藤良介】ロシアの有力経済紙、コメルサントは19日、クリール諸島(千島列島と北方領土)近海に大量の次世代エネルギー資源「メタンハイドレート」が埋蔵されている可能性が高く、露国立研究機関が国営石油大手「ロスネフチ」に開発の検討を提案したと伝えた。
同紙によると、露科学アカデミー極東地質学研究所は、クリール諸島の大陸棚に眠るメタンハイドレートが最大でガス87兆立方メートル相当と推定。同諸島北部パラムシル島付近の海底下200メートルから調査を始めるようロスネフチに提言した。
日本の2012年の天然ガス消費量は1167億立方メートルで、同研究所の最大推定はこの約745倍にあたる。記事は、クリール諸島周辺の調査は日本近海よりも容易で、「アジア諸国の企業が共同事業に関心を寄せるだろう」とする専門家の見方も伝えている。
ロシアでは、日本のメタンハイドレート開発が将来、自国の天然ガス生産にとって、米国発「シェールガス革命」以上の脅威になりかねないと懸念されている。ロシアはアジア市場への資源輸出拡大を目指しており、今後はクリール諸島での調査や開発にも目を向ける可能性がある。