今年1~3月期の成長率が0.8%にとどまるなど経済が減速ぎみの韓国で、朴槿恵(パク・クネ)大統領が成長再加速のための重要政策の一つと位置付ける「創造経済」の実現計画が策定された。
政府は今後5年間で40兆ウォン(約3兆4000億円)を投じて雇用創出や国際競争力の強化などを図り、科学技術・IT(情報技術)などの関連産業を中心とした経済の確立を目指す。現地英字紙コリア・タイムズなどが報じた。
同国の未来創造科学部の崔文基(チェ・ムンギ)長官は「創造性と革新的な技術の融合を進め、新市場と雇用を生む環境を醸成するのが目的だ」と同計画の意義を説明し、最終的には65万人の雇用につながるとの見通しを示した。
韓国政府は計画初年の今年、6兆9000億ウォンの予算を投じて、5000億ウォン規模の起業支援基金や、2000億ウォン規模の特許投資基金などを創設する方向だ。また、起業、特許取得、製品化などに広範な支援を行い、製品化が成功した際には国が優先的に採用していくとしている。
一方、専門家からは、創造性を発揮するには入試中心の教育制度や学歴重視の社会構造などの改革が必要だとする声もあがる。政府の思惑通りに科学技術・IT中心の産業構造への転換が進むかどうかは未知数といえそうだ。(ソウル支局)