原子力発電所の新規制基準が8日施行され、再稼働に向けた動きがようやく具体化し始めたが、東京電力福島第1原発の事故以降、国内の多くの原発は停止したままだ。ところが、ところが、アジアでは今後20年間に100基増える見込みなど、原発建設が急ピッチで進んでいる。これを受け、安倍晋三首相は自ら原発技術を諸外国に売る「トップセール」に乗り出した。新興国の“日本原発人気事情”を探った。
首相のトップセールス
「日本は世界一安全な原発の技術を提供できる」
成長戦略の柱の一つに原発輸出を掲げる安倍首相は、こう断言する。
安倍政権は「成長戦略」で、2020(平成32)年の原発などのインフラ受注額を現在の3倍の約30兆円に拡大する目標を掲げ、「原子力規制委員会の判断を尊重して再稼働を進める」と明記した。
5月上旬にはアラブ首長国連邦(UAE)とトルコを訪問し、両国と原子力協定を締結。トルコのエルドアン首相とは、三菱重工業と仏原子力大手アレバの企業連合に「排他的交渉権」を与えることで合意した。