国際通貨基金(IMF)は5日に公表した日本経済に関する2013年の年次審査報告書で、株価や民需が回復するなど安倍政権の経済政策「アベノミクス」で景気見通しが「著しく改善している」とした。ただ、中期的には「信頼に足る財政計画」の進展を求めている。
アベノミクス効果を分析した初めての年次審査でIMFは、1~3月期実質成長率が4.1%(年率換算)に跳ね上がるなど、大規模な金融緩和と財政出動に押されて「13年前半の成長は急加速した」と指摘。株価上昇が消費を刺激し、「円安に支えられ輸出も回復している」とした。
年後半もアベノミクスで景気見通しが著しく改善し、13年は2%成長を回復するとの予想を維持。14年に予定される消費税増税を前にした駆け込み消費も回復を支えるとみている。インフレ期待も上昇し始めており、「IMF理事はデフレ根絶に向けた金融緩和を歓迎する」としている。
しかし報告書は「構造改革は道半ばで、(世界経済の減速など)外的環境も弱い」ために、成長見通しは「重大なリスク」にもさらされているとも警告。とくに財政リスクを抑えるため、中期的な財政計画を直ちに実行する必要があるとし、15年までの消費税率の倍増に加え、成長を損なわない形での歳出入改革を求めている。(ワシントン 柿内公輔)