再生医療の市場予測【拡大】
日本の高度な再生医療技術を輸出するプロジェクトが動き出した。富士フイルムと関連会社のジャパン・ティッシュ・エンジニアリング(J-TEC)は共同で、年内に中国、タイで人工皮膚や人工軟骨の事業化に向けて現地調査に着手、2014年中に両国に治療認可を申請する方針だ。経済産業省も成長戦略の柱とする医療輸出の一環として、補助金などでプロジェクトを支援する。再生医療技術の海外展開は現在までのところ海外勢に先行を許しているが、官民を挙げて巻き返しを目指す。
「日本の再生医療が世界に羽ばたく足がかりになる重要なプロジェクトだ」。経産省幹部は8月5日に今年度の「医療機器・サービス国際化推進事業」の一つに選ばれたJ-TECと富士フイルムの中国、タイでの実証調査の意義をこう強調する。
経産省から補助金
両社はすでに現地の規制や有力な提携病院を調べるため、担当者を派遣。経産省から数千万円の補助金を得て、来年3月までに現地で5~10例の臨床試験を実施する。そのデータを基に、現地当局から治療認可が得られれば、15~16年度にも両社が出資する現地製造拠点を設立し、提携病院に販売する計画だ。