財務相の諮問機関である財政制度等審議会(吉川洋会長=東京大学大学院教授)の分科会は21日、医療機関と薬局が患者などから診療行為の対価として受け取る診療報酬について2014年度の改定時期に合わせ引き上げるかどうかを議論した。委員からは「引き上げは影響が大きく、国民の理解は得られない」など、慎重な意見が相次いだ。
財務省によると、仮に1%引き上げると4200億円の負担増になるという。ただ、来年4月に消費税率が5%から8%に引き上げられると、医療機器や薬価が値上がりするため、価格上昇分は診療報酬の改定に反映。患者への価格転嫁が難しい医療機関の負担軽減を図る。
分科会は高齢化の進行と医療の高度化などで毎年約1兆円増えている医療費を抑えるため、医療の効率化が不可欠だと指摘。医療体制については、地域ごとの実情に合わせ、高度な治療と手厚い看護が必要な急性期医療に人的・物的資源を集中投入し、患者の早期の家庭・社会復帰を促すべきだと指摘した。また、安価な後発医薬品の活用を加速させるなど、一段の合理化を進め、医療機関の高コスト体質を是正すべきだとした。
分科会は公共事業予算も議論。老朽化した高速道路の大規模修繕や、高速道路の割引制度の財源については、受益者負担が望ましいとの見解を示した。