政府は24日、産業競争力会議の農業分科会を開き、コメの生産を抑えて価格を維持する生産調整(減反)を見直す議論を始めた。環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉をにらみ、大規模農家が自由にコメを作れるようにして価格低下を促し、農業の競争力強化につなげるのが狙いだ。減反への協力を条件にコメ農家に対して支給する補助金の削減も検討し、11月中にまとめる農業の活性化策に盛り込むことを目指す。
同日の分科会では、民間議員の新浪剛史ローソン最高経営責任者が、減反について「農業の担い手の自由な経営判断を阻害し、効率的な生産を妨げる原因となっている」として、平成28年度の廃止を提言した。
また、民主党政権が導入した戸別所得補償制度(現在は経営所得安定対策に改称)に関しても、減反に従うコメ農家を対象に作付面積10アール当たり1万5千円を支給する補助金を来年度から廃止するよう提案。販売価格が基準を下回った場合に支給する変動交付金も廃止を求めた。
これに対し、政府は「すべてを一気にゼロにするのは難しい」としながらも、具体的な検討作業を進めると表明。自民党も25日から農林部会などの合同会議で議論を始める。減反への国の関与を弱める方策や補助金の大幅削減が検討の柱になる見通しで、政府・自民党は来年の通常国会への関連法案提出を視野に入れる。ただ、農業団体などの反発で調整は難航する可能性もある。
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コメの生産調整(減反) 主食用米が余って価格が下がらないように、生産量を調整すること。昭和45年に始まった。農林水産省は毎年11月下旬に翌年の生産数量目標を設定している。目標は都道府県ごとに割り振られ、さらに個別の農家に配分される。農家には補助金を支給して、麦や大豆への転作を促している。国産米が海外産より高値となる原因になっているとの批判がある。