連携強化の初会合で握手を交わす経団連の米倉弘昌会長(右)とJA全中の万歳章会長=11日、東京都千代田区【拡大】
経団連とJAグループは11日、国内農業の競争力強化に向けて共同で設置した作業部会の初会合を東京都内で開いた。環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の交渉が妥結すれば農産品の関税削減や撤廃が予想されるため、経済界の持つ技術や流通網、販売手法の生産現場への導入などで競争力の向上を目指す。政府もコメの生産調整(減反)廃止など農業政策の見直しに着手しており、意見の対立が続いてきた経済界と農業界の本格連携が軌道に乗れば、農業の改革が加速する可能性もある。
会合で、全国農業協同組合中央会(JA全中)の万歳章会長は「(高齢化など)われわれは待ったなしの状況に置かれている。(生産者が販売・流通も手掛ける)6次産業化や輸出について情報を交換したい」と述べ、経済界と手を組む意義を強調。経団連の米倉弘昌会長は会員企業の農業連携が約290に上ることを紹介し、「これまでの取り組みを効率化して強力に推進していきたい」と応じた。
作業部会は万歳会長が米倉会長に呼びかけて実現し、双方の実務者10人で構成。農地集積による生産コスト低減や6次産業化、国産農産品の輸出拡大などの具体策を協議する。部会は年内に2回目を開き、その後は2カ月ごとに農業政策の意見交換や現場視察などを行うが、万歳会長は「半年くらいで方向性が出てくる」と期待感を示した。