金融庁は20日、金融審議会(首相の諮問機関)に、5%を超える株式を保有する場合に提出が義務付けられている株式の大量保有報告書制度の緩和策を提示した。上場企業の自社株買いについては、報告を求めないとするもので金融審も合意した。
大量保有報告書は、株式保有状況を迅速に投資家へ伝えるための重要な手段として設けられている。だが、5%以上の取得後、1%単位で変動があれば、5営業日以内に、財務局に報告する義務がある。自社株買いも報告書を提出しなくてはならず、企業にとっては事務が面倒なことから、自社株買いを敬遠する理由になるとの弊害も指摘されていた。
自社株買いは、議決権などの変更がないため、経営への影響は、通常の売買に比べ限定的。このため、規制改革の一環として、報告義務の対象から外しても問題ないとした。これにより、企業が既存株主への利益還元策として、自社株買いをしやすい環境をつくることができるとみている。
また、報告書の提出者が個人である場合、氏名の他、住所や生年月日の記載も必要だが、プライバシー保護の観点から、住所の詳細や生年月日は、電子的な適時開示システムでは除外することなども合意した。
これらは通常国会に金融商品取引法の改正案として提出し、来年度中の実施を目指す。