いわゆる「衆参のねじれ」が解消し、政府・与党は思い通りに法案を可決できる態勢を手に入れた。実際、今月閉幕した臨時国会では政府・与党側が野党の審議要求を打ち切って法案の賛否を問う「強行採決」がいくつかの法案で行われた。
その一つである特定秘密保護法には、法律の必要性を容認する意見が多くあったにもかかわらず、法案原案のずさんさと国会答弁の拙さゆえに、右派の論客からさえ疑問の声が上がった。医療・介護など社会保障改革の道筋を示す社会保障プログラム法も、委員会は強行採決で突破した。
与党・政府からすれば「決める政治」の実践ということだろうが、果たして数を頼りにした強硬な国会運営に正当性はあるのだろうか。大多数の議席を握っているのだから当然だ、という意見があるかもしれない。だが本当にそうなのか。
12月14、15日にFNNが行った世論調査では安倍晋三内閣に対する支持率が急落した。支持率は47.4%で、前月に比べて9.3ポイントも低下、政権発足以来初めて50%を割った。
同時に与党自民党の支持率も下がっている。アベノミクスへの期待感が膨らんだ今年3月には43.3%にまで上昇していたが、12月の調査では35.4%となった。
公明党への支持率の5.1%を合わせても過半数には届かない。政府・与党が絶対的多数の信任を得ているとは言い切れないのだ。
もともと自民党に対する支持は脆弱(ぜいじゃく)だ。圧倒的な議席を獲得した昨年末の総選挙でも、自民党が比例区で得た得票は1662万票。大敗して政権の座を追われた2009年の総選挙で獲得した1881万票より少なかった。得票率も27.6%と、0.9ポイント上昇しただけだ。