北京の中心部にある中国人民銀行(中央銀行)=中国新聞社【拡大】
中国では、経常収支黒字の累積に支えられて対外純資産残高の拡大が続いており、2012年末時点で日本に次いで世界2位となっている。対外資産の積み上がりは、為替介入を通じた米国債保有増加や中国企業による海外企業の買収に現れている。
しかし、中国が対外純債権国となって久しいが、所得収支の赤字基調は変わっていない。米国や英国が対外純債務国であるにもかかわらず所得収支黒字を維持しているのと対照的だ。
中国の所得収支赤字は、中国による対外投資収益が海外からの対中国投資収益を下回っていることを示している。この背景として、中国に進出した外資系企業が中国で高い利益率をキープしている面ももちろんあるが、一方で中国による対外投資について、例えば、ウエートの高い米国債は収益率が低いことや、買収した企業や資源関連が想定通りの収益をもたらしていないことが考えられるなど、中国による対外投資の課題を示唆するものといえる。(編集協力=日本政策投資銀行)